突然親が倒れた!さぁどうする?

【マインドセット】後悔しないために、親の医療・介護対応について「家族の意思」を確立する

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介護もビジネスも、ブレない意思が求められる

母が突然倒れました。

 救急車を呼び、即検査。結果は、重度のくも膜下出血でした。手術をすることになりましたが、命の危険が伴います。

「お母さんに対して、どのような処置・対応をのぞまれますか」

 病院は、新たな処置をする度に、その都度説明をしてくれます。そして、その度に家族の意思が問われます。緊急対応時の、緊迫感あふれる中で、憂苦かつ重責な質問の連続。

例えば、緊急時の対応。

  • 危険な手術を行うか
  • 手術中に危険な状態に陥った場合、どのような対応をのぞむか
  • 容態が急変した場合、どのような対応を希望するか

など。

 親が倒れた事実をまだショックで受け止めきれておらず、動揺していて説明が頭に入らないという状況下で、容赦無く決断を迫られるのです。

常に、母の意向に沿った、ベストな判断をしてあげたい。ですが、倒れた母に直接確認することはできない。

私は当初、うまく答えられませんでした。このまま中途半端に判断していくと、後悔してしまいそうです。

こんな時、どうすればいいんだろうー。

そこで考えたのが「母のマインドセット」です。

母のマインドセットを考える

 「マインドセット」とは、経験、教育、先入観などから形成される個々の思考様式のこと。具体的には、暗黙の了解事項、価値観、信念などが含まれます。 

 個人で言えば価値観や信念、企業で言えば社風や企業文化、ととらえればわかりやすいでしょうか。

 これから先に起こるであろう決断を迫られる状況に対して、なるべく母の意向に沿って、ブレずに、家族の意思として決定できるよう、母の「マインドセット」を確立しようと決めました。

 そこで私の仕事経験を活用します。

私の仕事経験を応用する

私にはこんな仕事経験があります。

 リクルート在籍時代、会社・組織・ブランド等の統廃合で大規模な組織変革が行われた際、『フロム・エー』『タウンワーク』『とらばーゆ』『ガテン』など、歴史ある採用メディアのクリエイティブ責任者になりました。

 生まれも育ちもまったく違うメディアと、そのメディアを運用しているまったく違う文化・価値観をもつ編集メンバーたち。

その時に意識したのが「マインドセット」です。

各メディアのマインドセットを理解することからはじめ、新たな一組織としてのマインドセットを形成することで、お互いの尊重と組織としての成長を図ろうとしたのです。

母のマインドセットを確立させるのに、この経験を応用します。

母のマインドセット思考プロセス

組織のマインドセット形成要因は、以下3点と言われています。

<組織マインドセットの形成要因>
  1. 製品特性・事業特性
  2. 戦略・ビジョン
  3. 企業理念・企業が経験してきた出来事

 これらの観点を「人」に変換すればいいのでは、と考えました。以下3つの観点で母のマインドセットを探ることにします。

<母のマインドセット探索観点>

  1. 性格 … そもそもの母の性格を探る
  2. 信念 … 母の考え方、生き方を探る
  3. 経験 … どんな経験をしてきたか、好んで経験していたこと・避けていたことは何かを探る

 この3点をどう探るか。人は、経験し、好き嫌いなどの意思が生まれ、それが信念となっていく…と考えると、形成プロセスは以下と予測。この順序で探っていくととらえやすそうです。

<母のマインドセット探索手順>

「3.経験」→「1.性格」→「2.信念」

  • 3. 経験探索:母が経験した事柄や事象を思い出す
  • 1. 性格探索:その経験をしたのはなぜかを考え、性格をひもとく
  • 2. 信念探索:いくつかみえた性格的特徴から、奥底にある信念を探る
▲母のマインドセット探索手順

母のマインドセット探索結果

 調べるにあたり、私の記憶だけはつたないので、姉や叔母たちなど、周りの人にも聞いてみました。その結果をざっくりまとめてみます。

母の経験③(事象整理)

  • 運動は好きではないが、「健康のために歩く」と決め、夕食後に約2km近所を歩くことを日課にしていた。これを習慣化して14年になる
  • お花、絵葉書、琴、ビーズなど、習い事が多い
  • 学生時代の友人、ご近所さん、親戚、習い事の友人、職場の友人など、交友関係が広い。それぞれの友人と定期的に会っている
  • 60年間で戸建てを3回建て替える。しかも借金なし(ちなみに我が家は平凡な公務員家庭です)
  • 好きな色はピンク。服を購入する時は、花柄、フリル付きひらひら、装飾キラキラあしらい系を選択しがち
  • 切り干し大根、煮豆を好んで食べる。おかゆ、ゼリー、クッキー、抹茶には手をつけない

母の性格①(事象から性格をひもとく)

  • 実現できる理想的な目標の設定が上手い。長期目標も確実に達成する。目標達成意欲が高い
  • 事務処理能力に長けている。数字に強い
  • 準備を怠らない。段取りも上手
  • 企画性に溢れ、人を楽しませるのが好き
  • 合理的>感情的

母の信念②(性格の奥底に眠る信念を探る)

  • 好みがはっきりしているので、嫌いなこと・意にそぐわないことは行わないし、行って欲しくない
  • 感情的にならず冷静に判断し、正解を導く。一度決めたら後悔しない
  • 目標を達成するために、計画を立て、目標に向かって淡々と頑張る。そのために努力するのはあたりまえ。努力は表に出さず、口にもしない

整理してみると、驚きの連続。

私の知らない母の一面が結構あることに気づきました。

母の持ち物も調べましたが、その際には「延命措置不要」の意思を示したメモを見つけることができました。

母のマインドセットを伝達する

 ある程度整理できたタイミングで、家族会議を開きました。今後の母の対応をどうするか、家族の意思として判断の統一を図るためです。

 私は、整理した母のマインドセットを受けて、その先待ち受けているであろう母の医療・介護の判断について、以下のようにしたいと提案しました。

<母のマインドセットを受けて/この先の母の医療・介護判断基準>
  • 何かを判断する際は、判断の根拠を明確にし、一度決めたら後悔しないようにしたい
  • 母が嫌がることは避け、なるべく母の意に沿うであろう選択をしたい
  • 母はすでに頑張って病気と闘っているので、むやみに「頑張れ」「もっとやれ」的な発言はさけたい

 最終的に、この方向での考えを家族の意思とし、話し合った内容は、企画書としてpptにまとめ、可視化しました(私はクリエイティブコンサルタントを職業としていますので、すぐに企画書の体裁でまとめてしまいます)。

結論を「家族の意思」、その根拠を「母の生き方」による、として示したのです。

▲作成した企画書の数々

このまとめた内容は、まず最初に、親族に説明してみました。

親族共有

 そもそも親族は理解を示してくれている人たちばかりなので、企画書体裁pptでの説明は少々やりすぎ感もありましたが(苦笑)、日常生活ではわかりにくい「どう考えているのか」「それはなぜなのか」を言語化し明示することで、理解や納得感は得ることができたと思います。

介護支援スタッフ共有

 医師・看護師・ケアマネージャー・介護スタッフなど、支援をしてくださる方々にも伝えました。目的や、お願いしたいこととして「マインドセット」をもとに細かいことも相談してみましたが、皆さんプロとして、逆にいろんな提案をしてくれました。

マインドセットを整理するメリット

 「マインドセット」を確立させた結果、その後の判断がスムーズになりました。家族・親族でオーソライズされた意見として、迷いのない意思表示ができると、厳しく、難しい命に関わる決断も、納得のいく形で行いやすくなります。

 また、利用するサービスも、目的や価値観が伝えられているので、マッチングレベルが向上しやすいと実感しています。

 いわゆる意思・判断の戻り先が「マインドセット」

 動揺し、冷静な判断がしにくい状況こそ効力を発揮し、判断基準の立ち返り先となってくれるのです。

何より、「(自分たちが整理した)母の意思の元に判断ができている」という実感を得られるのが大きいです。判断に対する後悔は(いまのところ)ありません。

 マインドセット確立後、私は、吐きそうなほど抱えていたプレッシャーから、少し、解放されました(完全には解放されません苦笑)

まとめ

  • 親が倒れると、厳しい決断を急いでしろ、という容赦ない状況が何度も押し寄せてくる
  • その際に壁となるのは、ショック・心の動揺とえげつないプレッシャー
  • そんな中、最初に「マインドセット」の確立をしておくと、自分たちだけでなく、家族や親族は納得感が得られ安心でき、支援してくださる方々には理解されやすく、サービスの質向上に繋がりやすい
  • この実感が得られると、判断に対する後悔はなさそう
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